聖パウロの足跡を訪ねて 第7日 パムッカレ(綿の城の意味)より


天気予報通りで、昨晩からどしゃぶりの雨である。ピシディアのアンティオキアに向かうバスの中でも、ヒョウが降っているかのような強い雨だ。けれども水不足に悩む人々にとっては恵みの雨である。

コンヤからピシディアのアンティオキアまでは約160km。小降りの中、遺跡に入っていく。パウロはここで「安息日にユダヤ人へ強い確信に満ちた説教をし、大勢の人々が福音を聞いた。異邦人たちは主のことばを聞き喜び、ユダヤ人たちはパウロとバルナバに対し迫害を起こしてこの地方から追放した。」雨のため屋外ミサはできなくなってしまった。とても残念である。

途中トイレを探しながらモスクの近くを歩き回る。昨晩足を痛めてしまったYちゃんのために、近くの薬局にトイレをかしてと頼み込む。店主と思われる方がにこにこ顔で「どうぞ、どうぞ」と4名を中にいれてくれ、お茶とパンまでごちそうしてくれた。見ず知らずの外国人へのこのように自然で、暖かいおもてなしに感動。


昼食はエルジール湖の近くのレストランでお魚料理を頂いた。今日お誕生日を迎えたYちゃんは、終始にこにこ顔で、皆のアイドル的存在である。
食後には、どんなに興味深いガイドさんのお話でも、こもり歌になってしまう。しばらく静かに車窓の景色をながめたり、お昼寝をしたり、ロザリオを唱える人もいる、毎日の時間が過ぎていった。

次の目的地はコロサイである。ピシディアのアンティオキアから約230km。今日はこの広いトルコを全行程で400km以上走ることになる。面積は日本の約2倍、人口は約三分の二のトルコは、走っても走っても、家が全く見えないような農地が広がっている。食料の自給率は100%という農業国で、野菜の自然な味は日本に帰ってから恋しくなることだろう。


コロサイの遺跡に到着したのは、暗くなった5時半頃。懐中電灯で足元を照らしながら、パウロが獄中から書いたコロサイ人への手紙を黙想した。あちこちに出来てきたキリスト者の共同体を、自分のことを考えずに気にかけ、心配し、愛するパウロは宣教者の真の姿であり、このパウロの福音宣教の熱意があったからこそ、日本人である私たちにも信仰が与えられたのだ。


待ちに待ったYちゃんのお誕生会は、ホテルでの夕食の時に行なわれた。かわいいスカート姿のYちゃんのケーキカットの時には、たくさんのカメラマンのフラッシュがたかれ、お母さんとYちゃんに「おめでとう!おめでとう!」の声があちこちからかけられた。今日も新たな体験と感動、感謝の一日であった。